今月の法話 2021年10月

いのちは ひとりでは輝けない いのちの海で つながって 響きあい 輝く

 近年、今までにないような激しい大雨や体験したことのない大きな台風が日本列島を通過することがあります。大雨により河川が増水して氾濫する危険がありますとニュースでしばしば報道されます。河川の様子をネットの防災地図で見ると日本には大きな河川以外にも、人間の体の隅々まで張り巡らされた毛細血管のように、小さな河川がたくさん存在していることに気付きます。
 河川の水は、長い旅路を経ていずれ海へと流れていきます。海へと注がれる河川の水の辿ってきた経路は様々ですが、どの河川の水も海と合流した瞬間に同じ海水へと変わっていきます。大きい川、小さい川、流れの早い川、流れの緩やかな川、まっすぐな川、曲がりくねった川、長い川、短い川、いろいろな川がありますが、どの川の水も最後は海へと流れ込み、みんな同じ海水へと変わります。私たちの人生も人それぞれです。生まれ育った場所、性別、年齢、経歴、今まで歩んできた人生は誰一人として同じものではありません。しかし阿弥陀様からの「必ず救う、われにまかせよ」とのお呼び声を心に疑いなくいただき、念仏申す人生を歩めば、命終わるときに阿弥陀様のはたらきによってお浄土に生まれ、『阿弥陀経』の中に「青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光」とあるようにそれぞれの特色をそのまま輝かせることのできる世界へと生まれていきます。

光の浄土

浄土は、無量の光に満ちあふれた世界。如来の智慧が光となって輝き、限りなくはたらき続けるさとりの世界である。
親鸞聖人は、阿弥陀如来の浄土をお示しになり

 無量光明土なり

と仰せになる。

如来の浄土へ生まれるならば、その光のはたらきにより、いかなる煩悩も、浄土と同じさとりの功徳へと変えられる。それはあたかも、海へと流れ込む川の水が、すべて一味の海潮(うしお)となるような、広大なるはたらきである。

念仏の教えをいただく者は、限りない光の浄土へ生まれ、この上ないさとりの利益を恵まれるのである。

『拝読 浄土真宗のみ教え』本願寺出版社

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