今月の法話 2021年2月

悲しみが深ければ深いほど 真実に遇うよろこびは大きい

 今の時期は一年の中でも最も寒い時期です。北海道は深い雪に覆われている地域が多く、暖かい春を多くの人が待ち望んでいます。岩見沢のように地域によっては例年より多くの雪が降り積もり、雪には慣れているとはいえ生活に大きな支障が出ている地域もあります。長い間雪で閉ざされる厳しい冬が終わり暖かい春を迎えることは、北国で生活する人々にとって大きな喜びです。
 北海道は近年、品種改良が進み「ゆめぴりか」などのとても美味しいお米がとれる地域として全国にも知られるようになりました。北海道を代表するコメどころは、冬に多くの雪が降り積もる空知地方です。冬の田んぼは真っ白な雪が深く降り積もります。季節が進み春になるとその雪が徐々に解け、4月頃になると太陽の光を待ちわびた大地が地表に現れます。雪解け水で十分に水分を含んだ田んぼに5月頃になると田植えが始まり、稲は太陽の光を浴びて成長し、秋になると沢山の実を詰まらせた稲穂が頭を垂れる収穫の時期を迎えます。冬に雪が少ないのは生活するには助かりますが、農家の方は土に水分が十分に行きわたらないのではと心配される声を耳にすることがあります。冬の雪も北海道の田畑にとっては作物の成長に必要なものです。
 親鸞聖人のご和讃に「罪障功徳の体となる こおりとみずのごとくにて こおりおおきにみづおほし さはりおほきに徳おほし」『高僧和讃 曇鸞讃』(註釈版聖典P585)とあります。「罪や障(さわ)りは、そのまま功徳のもとになるのです。その関係は氷と水のようであり、氷が多ければ多いほど、溶けたときの水は多くなります。同じように罪や障りが多ければ多いほど、後に得られる功徳も多いのです。」という意味です。私たちは沢山の煩悩を抱えています。その煩悩が浄土往生の妨げになることなく阿弥陀仏の本願の船に乗ることによって、命終える時に阿弥陀仏のはたらきによって浄土に往き生まれさせていただき仏にならせていただく人生を歩んでいます。冬の田畑に積もる雪が春になると田畑に潤いをもたらし生命をはぐくむ源となるように、人生の中で苦悩を味わうほど阿弥陀仏の功徳を身近にする大きな逆縁となります。
 いまは新型コロナウイルスの影響により我々にとって長く暗いトンネルの中を歩むような生活が続いていますが、いつかトンネルを抜けた先の光に出遇う喜びを抱きつつお念仏申す日暮を続けましょう。

光の浄土

浄土は、無量の光に満ちあふれた世界。如来の智慧が光となって輝き、限りなくはたらき続けるさとりの世界である。
親鸞聖人は、阿弥陀如来の浄土をお示しになり、
  無量光明土なり
と仰せになる。
如来の浄土へ生まれるならば、その光のはたらきにより、いかなる煩悩も、 浄土と同じさとりの功徳へと変えられる。それはあたかも、海へと流れ込む川の水が、すべて一味の海潮となるような、広大なはたらきである。
念仏の教えをいただく者は、限りない光の浄土へ生まれ、この上ないさとりの利益を恵まれるのである。
本願寺出版社『拝読 浄土真宗のみ教え』より

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