今月の法話 2020年12月

愚痴が出る 私の口から なんまんだぶつ

 今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の影響によって不自由な生活を強いられる一年となりました。今まで当たり前のように過ごしていた日常生活が一変しました。人と人との距離を保ちながら、大人数での会食を控え、手を丁寧に洗い、目鼻口を手で触れないようにし、マスクを着用して会話するなど新しい生活スタイルになりました。

 マスクをしていると時には息苦しくなったり、今までよく会っていた人となかなか会って会話をすることができず、こんな生活がいつまで続くのだろうと不安を覚えたりイライラしたりして、つい愚痴をこぼしたくなることもあります。思い通りにならないことに対して愚痴が出る、その私の同じ口から「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」とお念仏も出てきます。煩悩によって真実のはたらきに気づくことができず、自分の思い通りにならない時は愚痴が出てしまう煩悩具足の凡夫である私。そんな私に対して常に「大丈夫!必ず救う、われにまかせよ!」と阿弥陀様は呼び続けて下さっています。

 まだしばらくこのような生活スタイルが続いていきそうですが、来年もお念仏を申しつつ、浄土への無碍の一道を歩み続けましょう。

如来のよび声

阿弥陀如来は、すべての者を救いたいと願われ、南無阿弥陀仏の名号を完成された。名号は、如来の智慧と慈悲を円かに具えた、救いのはたらきそのものである。
親鸞聖人はこの如来の名号を、
本願招喚の勅命なり
と仰せになる。
南無阿弥陀仏は、「必ず救う、われにまかせよ」との阿弥陀如来のよび声である。
如来は、偽りと真実の見分けもつかない凡夫を哀れみ、名号による救いを選び取られた。如来のみ名は、遍く世界に響きわたり、この真実の救いにまかせよと、よび続けておられる。
そのよび声は、私の称える南無阿弥陀仏の念仏となって、今ここに至りとどいている。念仏の声を通して、如来の大悲のよび声を聞かせていただく。
『拝読 浄土真宗のみ教え』より

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