今月の法話 2020年5月

浄土とは また遇うことが 約束された まことの世界

 『仏説阿弥陀経』の中に「倶会一処」という言葉が出てきます。浄土真宗の教えをいただく私たちにとってはお説教の中で耳にする言葉です。ともに同じ信心いただくものは、命終えたらお浄土という一つのところに往き生まれ、先にご往生された懐かしい方々とまた会える世界を阿弥陀様はご用意して下さっています。
 歌手の竹内まりやさんが歌っている「いのちの歌」という歌があります。朝のNHK連続テレビ小説『だんだん』で主人公が歌っていました。「だんだん」とは出雲地方の言葉で「ありがとう」という意味です。その歌詞には
いつかは誰でも この星にさよならをする時が来るけれど 命は継がれてゆく 生まれてきたこと 育ててもらえたこと 出会ったこと 笑ったこと そのすべてにありがとう この命にありがとう
とあります。
 誰もがこの世に独りで生まれ、そしていつか独りでこの世を去っていかねばなりません。いくらお金を持っていても、どれだけ愛する人がいようともそれらを全てこの世に残してこの世を去っていくのです。そんな絶望とも思えるこの世との別れに、光を照らして下さったのが阿弥陀仏の救いです。
 私たちはお寺でお聴聞し、阿弥陀様からの「必ず救う われにまかせよ」というお呼び声を心に疑いなくいただくときに、阿弥陀様からご信心をいただき、浄土への人生を歩むようになります。浄土とは、お念仏を申され先にご往生された懐かしい方々とまた遇うことが約束された真実の世界、倶会一処の世界です。
 また私のこの命は終わっても、仏様となり永遠の命を新たにいただく私は、苦しみを抱える大切な人をまことの世界へ導くためにこの世でずっとはたらき続けます。死んで終わらない往生浄土への道を今、力強く歩んでいます。今いただいている命に感謝しながら、念仏申しつつ生きていきたいものです。

印刷用PDFファイルはこちら
PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Reader(無料)が必要です。ダウンロード

法話バックナンバー