今月の法話 2020年4月

自己を知る 生死を知る 恩を知る お念仏のはたらき

 新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々、ご遺族の皆様に謹んで哀悼の意を表するとともに、罹患されている方々に心よりお見舞い申し上げます。
 先日、白血病で闘病中の女子競泳選手の池江璃花子さんと元テニスプレーヤーの松岡修造さんとの対談記事を読みました。彼女の抗がん剤治療は、他の人が感じる苦しみとはレベルが違う苦しさでした。一番しんどい時は、こんなに苦しいのだったら死にたいと思ったそうです。しかし一生続くわけではないと考え直し、懸命に治療に励み退院されました。退院後、外に出られたこと、車に乗れたこと、外食が出来たこと、普段当たり前と思っていたこと全てが、本当になんて幸せなんだろうと思ったそうです。苦しく辛いことがあった後に、こんな楽しいことが待っているのだと思ったそうです。
 白血病を通してつかんだこととは?との松岡修造さんからの問いに、「水泳することが当たり前、生きていることが当たり前になっていたけれど、全く違って、ここにいることが奇跡、生きていることが奇跡、という気持ちに変わった。病気になって良かったとは思わないが、病気になって学んだことが多かった。自分が今、どういう立場でどういう気持ちで生きていくべきか考えさせられたから、自分の人生にとって大きなターニングポイント(転機)になった」と答えておられました。
 池江選手は闘病生活を経て、自己を深く見つめ、多くの方々に支えられた人生であることに気づかされました。私たちも今、新型コロナウイルスの影響により不安の中で生活をしていますが、どんな時でもお念仏は苦悩を抱える私にはたらいています。
不安の中でもお念仏を申しながらお浄土へ参る人生を歩んでいます。一日も早い新型コロナウイルスの収束を願って通常の生活に戻れることを念じています。合掌

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