今月の法話 2019年4月

独りでは生きてこれなかった この人生

 新年度を迎え新たな環境の中で新しい生活を迎えておられる方も多いと思います。慣れない環境の中で時には不安になったり、孤独を感じることもあると思いますが、そんな時に実家の家族や親しい友人と連絡を取り、ただ声を聴くだけでも安心できることがあります。

 誰もが生活の中で苦しみや悩み、悲しみを抱えながら日々を必死に生きていますが、私たちは今までも決して一人で生きてきたわけではありません。現在お一人で暮らされている方も一人きりで生きているのではなく、目には見えない多くの人達と繋がりながら毎日を過ごしています。私のことをいつも気に掛けて心配していてくれる家族や友人の思いが私の生きる支えとなります。またお念仏をいただく私たちは「必ず救う、われにまかせよ」という阿弥陀様からの願いにも支えられながら生活しています。一生懸命勉強や仕事をしているにもかかわらずなかなか結果が出なくて思い悩んでいる時、遅くまで残業をして誰もいない家に帰り独りで夕食を食べている時、「大丈夫だよ!独りじゃないよ、いつも私がそばにいるよ!」と阿弥陀様は絶えず私に「南無阿弥陀仏」となって呼び続けて下さっています。

 親鸞聖人は、「十方微塵世界の  念仏の衆生をみそなはし  摂取してすてざれば  阿弥陀となづけたてまつる」(ありとあらゆるご本願のはたらきを信じて、お念仏申す生きとし生ける者をご覧になって摂(おさ)めとりむかえ取って、決してお捨てにならない如来さまでいらっしゃるので「阿弥陀さま」とお呼び申しあげるのです)とご和讃を詠まれています。

 苦しみの多い人生の中で時には孤独を感じ人生に対して絶望を抱くことがあるかもしれません。しかし私がどんな状況であっても、決してこの私を見捨てぬ阿弥陀様が「南無阿弥陀仏」となって私の人生に常に寄り添っておられます。今まで決してたった独りでは生きてこられなかったこの人生。大いなる阿弥陀様のはたらきに感謝のお念仏を申すばかりです。

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