今月の法話 2018年4月

育てるのではなく 育てられている いのち

 先日の平昌オリンピック・パラリンピックでは道内出身の選手も大活躍しました。スキージャンプの高梨沙羅選手やスピードスケートの高木美保選手、高木菜那選手、そしてカーリング女子の「そだねー!」も話題の言葉になりました。また男子フィギアスケートの羽生結弦選手は66年ぶりの2大会連続金メダルを獲得しました。多くの方が選手達の一生懸命な姿に感動しながら観戦されたと思います。
 また、どの選手も競技後のインタビューでは今まで支えてくれたコーチや家族、友人、応援してくれたファンに対して感謝の言葉を口にしていました。オリンピックでメダルを取る選手は日ごろから高い目標を掲げ、個々の非常に優れた能力、絶え間ない努力の積み重ねによって素晴らしい結果を手に入れることが出来たと言えます。しかし彼ら自身の思いは、自分の力だけで獲得したメダルではなく、多くの人の支えがあって獲得することができたメダルだったのです。彼らのインタビューの受け答えの言葉には大変力があり、それを聞く者にとってはとても勇気を与えられる言葉が多かったです。
 小さい頃は大家族の中で育った方が、時代の変化に伴い現在は家ではお一人で生活されているという方も多いと思います。表面上は誰ともつながりがなく寂しい思いをしながら毎日を過ごされている方もおられるかもしれません。しかし私たちは決して一人で暮らしているのではありません。「あなたは一人ではないよ!いつも私がいるよ!」と嬉しい時や楽しい時だけでなく、寂しい時や辛い時にも阿弥陀様は苦悩を抱える私に対して「南無阿弥陀仏」となって常にはたらきかけて下さっています。オリンピック選手が多くの人からの応援や思いに支えられているように、私たちも目に見えない多くの人に支えられながら、多くの方からの「思い」や「願い」に支えられて毎日を送っているのです。
 私一人で生きているのではなく、様々な方からお育てをいただいていることに感謝しながら念仏者として浄土への道を歩ませていただきましょう。

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