今月の法話 2016年11月

無辺光 人種・宗教・文化・性別を厭わず遠ざけず

 今年の夏にブラジルで開催されたリオ・オリンピック、パラリンピックでの日本人選手の活躍が脳裏に焼き付いている方も多いと思います。次は2020年に東京オリンピック、パラリンピックが開催されます。東京では1964年(昭和39年)以来の2度目のオリンピックで期待に胸を膨らませている方も多いと思います。
 リオ・オリンピック開会式では「Let’s look for similarities and celebrate differences!」とアナウンスされていました。そしてそれは「お互いの似ているところを探し、違いを楽しもう!」と訳されていました。
 ブラジルは多民族国家です。20世紀初頭から半ばにかけて農業移民として日本からも多くの人がブラジルに渡りました。世界各地よりブラジルへ渡りそこで遠く離れた故郷や家族に思いを馳せながら多くの移民労働者が働いていました。辛くて厳しい労働の中で、彼らの心の拠りどころとなったのがお寺や教会でした。
 アメリカ・サンディエゴ仏教会の寺報「BUSSEI SCRIPT ―歓喜―」に次のような文章が掲載されていました。「Last Sunday, grandmother went to the temple. I went to the church. She is happy, I am happy, we are very happy!」(この前の日曜日、おばあちゃんはお寺に行き、私は教会に行きました。おばあちゃんも私も幸せ、私たちはとても幸せです)
 異なる価値観を受容し、多様性を受容していくことはとても大変なことですが、自分の価値観を相手に強要せず、お互いの信仰生活を認め合い、人種・宗教・文化・性別の違いを楽しめる、そのような「自他ともに心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献する」念仏者でありたいです。

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