今月の法話 2011年8月

真実を重心にしているものは 迷わない

 以前、或るご門徒さんのご夫婦の家庭で、次のようなことが起こりました。このご夫婦は結婚後、何年も子宝に恵まれませんでしたが、念願かなってやっと一子をもうけることができました。その喜びがどれ程のものであったかは、想像に難くはないでしょう。しかし、奥さんは、子供が成長するにつれ、だんだんと思い通りに育てることができなくなり、悩むようになりました。
 悩んでいるとき、ある同級生のお母さんと知り合いになりました。ところが、この同級生のお母さんは新興宗教の信者でした。この信者のお母さんは学校のPTAの役員になっており、信者を獲得するために、同じ年頃の子供を持つ親として、彼女の相談に乗ってきたのでした。余りに親切に相談に乗ってくれたことと、入信したなら子育ても順調になるというようなことを言われ、とうとう入信してしまいました。ところが、かえって御主人との仲も悪くなり、新興宗教の幹部からは家族すら入信させられないのかと責められ、ましてや、子育ての悩みも変わらず、以前よりも苦悩が深まるばかりとなってしまいました。
 そこで、奥さんもやっと目が覚めたのでしょう。思い通りにならない人生を、無理やり思い通りにしようとして、かえって、益々深い迷いの中に落ち込むところだったと気付いたのでした。思い通りにならない人生を生きるしかない私であるからこそ、その苦悩の私を支え救わずにはおかないと、常に働いて下さっている真実の如来様がいらっしゃるのです。その真実に立脚して生かされたなら、もう迷うことはありません。

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