今月の法話 2010年1月

お念仏の教えとは 強く生き抜くことであり人に優しくすることである

 仏教とは誰のための教えでしょうか? 死んだ人のためでしょうか? それとも遺族のためでしょうか? はたまたお坊さんのためでしょうか? いえいえ、違います。私のため、私自身が聞かせていただく教えです。
 私たち人間は欲望(煩悩)の中に生きています。決して消えることのない欲望は、自身を迷わせ他をも迷わせます。しかし、私たち人間は、その迷っている自身に気づかず、また自分が人を迷わせていることにも気づきません。そんな私に、迷いの中に生きていることを気づかせ、自身の生き方を見つめさせる教えそれが念仏の教えです。自分の生き方を、真剣に考えることほど難しいことはありません。人のことを悪く言うことは簡単でいくらでも出来ます。しかし、自分のことを悪く言う人はなかなかいませんし、人に悪口を言われるとものすごく腹が立つものです。みんな自分が一番かわいいのです。そんな自分とどれだけ真剣に向き合うことができるでしょうか。自分が自分がと我を通すのではなく、あなたあっての私、私を取り巻くすべてのものが今ここにあっての私と、あらゆる物に感謝することこそ私が生きるために一番大切にしなくてはいけないことであります。礼や見返りをもとめず世のため人のために優しくなれる、おかげさま生き方であり、本当の念仏者の姿がここにあります。
 すべての人々が平等で平和に生きることができる世界、『よのなか安穏なれ仏法ひろまれ』のお言葉が、いよいよ私自身の人生の目的であることに気づかせていただきました。

印刷用PDFファイルはこちら
PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Reader(無料)が必要です。ダウンロード

法話バックナンバー