今月の法話 2022年2月

つまづき ころんでも そのままたすける 南無阿弥陀仏

 新年を迎えて早くも一か月が経ちました。お正月は家でゆっくり過ごされた方も多いと思います。毎年1月2日・3日は箱根駅伝が開催され、テレビやラジオでその様子が生中継されます。東京から箱根までの100キロを超える距離を5つの区間に分け、往路復路合わせて10人の学生ランナーがタスキをつなぎながら走ります。有力選手が何人抜きを達成したという話題や、走っている途中で調子が悪くなり棄権して後の選手にタスキをつなぐことができなかったということも今まで大会の中で何度もありました。視聴者はハラハラドキドキしながら区間新記録が出るかどうか、タスキが時間内に繋がるどうかなど学生ランナーが懸命に走る姿に感動しながら中継を見ています。
 今年は往路も復路も青山学院大学が圧倒的な強さで優勝しました。箱根駅伝を見ているとあることに気付きます。それはテレビ中継で画面には、先頭を走っている選手が映っている時間が長いということです。もちろんタスキリレーが行われる瞬間は他大学の選手たちが映ります。また順位が入れ替わりそうな場面、有力な選手が前を走っている選手を追い抜く瞬間も先頭以外の他大学の選手が映ります。しかしそれ以外の場合、多くの時間はトップを走っている選手が映っていました。タイムの新記録がかかっていましたから、なおさらトップの選手がよくテレビに映っていたのかもしれません。テレビ中継では先頭を走るチームの選手やとても注目されている足の早い選手がよく映され、下位を走る選手たちはあまり映ることがありません。
 もし阿弥陀様がカメラをお持ちならば、私たちをどのように撮影して下さるでしょうか。箱根駅伝ではたくさんいる選手の中でトップを走る選手がよく映し出されますが、阿弥陀様の場合は決してそうではありません。私が生まれた瞬間から命を終わる瞬間まで、ただ私一人を中心に撮影して下さっているのです。人生のどのような地点にいても私中心に映して下さっています。私たちは今まで歩んできた道、今いる地点、人それぞれです。阿弥陀様は誰かと比較して優劣をつけることなく私一人を大切にいつも見守っていてくださいます。まるで我が一人子のように私一人が阿弥陀様の救いの目当てです。懸命に走る選手に向けて沿道から熱い声援が送られるのと同じように、一度しかない人生を歩んでいる私に向けて阿弥陀様は「大丈夫、そのままたすける!いつも一緒だから安心しなさい」と「南無阿弥陀仏」となって呼び掛けて下さっているのです。

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