今月の法話 2011年5月

相手を許さないのは 自分が正しいと思い込んでいるから

 悪いのはすべて相手であり、自分は悪くはないと主張する人も多く、先に「悪いのは相手だ。」と言った方が勝ちのようにも思われる昨今ですが、これについて、ある御同行のお婆さんの有難いお話を思い出します。
 そのお婆さんは少し足腰を痛めていたため、家の中での立ち振る舞いは大丈夫でしたが、長い時間は歩けない状態でした。
 そこで、病院に行くには一人では出かけられないため、近くに住む娘さんが、車で病院への送り迎えをしていました。
 いつもの通り、病院へ送り迎えをしてもらったある日のことです。家まで送ってもらったとき、家に着いたので、車から降りて立っていたところ、娘さんが車をユーターンさせようとした際に、お婆さんに車が軽く当たってしまったそうです。幸いにも何の怪我も無く済んだそうですが、そこでお婆さんは、「私がぼんやりしていたから車に当たってしまい悪かったねえ。」と娘さんに謝ったそうです。すると娘さんは、「お母さん。私だから謝っても良いけれど、他の人や車だったら絶対にこんなとき、謝ったら駄目だよ。」とお婆さんに言ったというのです。
 そこでお婆さんは、「なんて世知辛い世の中になったことなのでしょうね。私がぼんやりして避けずにいたから車に当たってしまった。自分が悪かったから謝っただけなのに、それを謝ってはいけないなんてどういうことなのでしょう。」と悲しそうな顔をして話して下さいました。
 このお話しを読まれて、あなたはどう思われますか。車を当てしまった娘さんが悪いですか?それともぼんやりして車を避けなかったお婆さんですか?

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